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憲法 [6] 第3章 基本的人権 - 基本的人権の原則

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基本的人権の原則

国民の要件

憲法10条

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

-> 国籍法に規定

基本的人権の不可侵性

憲法11条

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

自由・権利の保持義務、濫用の禁止

憲法12条

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

基本的人権の範囲に関する問題点

外国人への人権保障

憲法の定める人権保障規定が外国人にも及ぶかどうか(外国人の人権享有主体性の有無)について。
原則、権利の性質上、日本国民のみを対象とするものを除き、外国人にも等しく及ぶとされる。

判例マクリーン事件最高裁大法廷 昭和53.10.04)

日本で英語教師をしていたマクリーンさんが在留期間更新の申請をしたところ、日米安全保障条約に反対するデモや集会に参加していたことを理由に更新を不許可とされたことに対して、処分の取消を求めて争われた事件。
外国人の人権享有主体性や政治活動の自由に関する問題などがポイントとなった。

外国人の人権享有主体性について

権利の性質上、日本国民のみを対象とするものを除き、日本に在留する外国人に対しても等しく及ぶ

外国人の政治活動の自由について

日本の政治的意思決定やその実施に影響を及ぼす活動など、認めることが相当でないと解されるものを除き、外国人にも政治活動の自由は認められる
ただし、外国人に対する憲法基本的人権の尊重は、外国人在留制度内において与えられているに過ぎないため、基本的人権の尊重を受ける行為であったとしても、当該行為が在留期間更新に際し、消極的な事情(不許可の理由)にならないとは限らない。

昭和50(行ツ)120 在留期間更新不許可処分取消

判例】外国人の幸福追求権(最高裁 平成7.12.15)

外国人登録法に規定されていた指紋押捺制度(平成11年 全面廃止)について、指紋押捺を拒否した外国人が、当該制度は憲法13条に反して違憲であると争われた事件。

最高裁外国人の人権享有主体性を認め、外国人にもみだりに指紋押捺を強制されない自由(憲法13条を根拠とする幸福追求権)が保障されるとした。
ただし、当該制度の立法目的に対しする合理性・必要性も認め、また過度の苦痛を伴うものでもないとし、合憲と判断した。

平成2(あ)848 外国人登録法違反

判例】外国人の国政選挙への参政権最高裁 平成10.03.13)

外国人に国政選挙の被選挙権を認めない公職選挙法が、憲法15条および国際人権規約に違反するのではないかと争われた事件。

最高裁は当該規定は憲法15条および国際人権規約に違反しないとして、外国人の被選挙権を否定した。

平成8(オ)1342 損害賠償

通説的見解では、国民主権の観点から、外国人に日本での参政権は保障されない。
また、保障されないことと、法律によって選挙権・被選挙権を付与することが禁止されていることは別問題だが、この点についても、国政レベルの選挙権・被選挙権を外国人に付与することは認められない

判例】外国人の地方選挙の選挙権(最高裁 平成7.02.28)

立法により、地方レベルでの参政権を外国人に付与することが認められるか(憲法93条2項の "住民" に外国人が含まれるか)について争われた事件。

最高裁は、憲法93条2項に言う住民とは、地方公共団体内に住所を有する日本国民を指すとし、原則、在留外国人の選挙権を保証するものではないと判断した。
ただし、永住者やその他の事情により当該地方公共団体と密接な関係にある場合、その議会の議員等の選挙権を与える立法措置は憲法上禁止されているものではない(地方レベルでは、基本的人権として選挙権が保証されているわけではないが、立法によって付与することは可能である)とした。

平成5(行ツ)163 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消

判例】外国人の公務就任権最高裁大法廷 平成17.01.26)

東京都に住む韓国国籍の在日二世の公務員が、日本国籍がないという理由で管理職選考試験を受けられなかったのは違憲ではないか、と争われた事件。

最高裁は、外国人が公権力行使等地方公務員(管理職)に就くことは、本来我が国の法体系の理想としているところではない、と判断した。

平成10(行ツ)93 管理職選考受験資格確認等請求事件

判例】外国人の再入国の自由(森川キャサリーン事件 最高裁 平成4.11.16)

在留外国人が、日本に戻ってくることを前提として海外へ渡航し日本へ戻ってくることが、憲法22条により保障されるかが争われた事件。
(原告は指紋押捺の拒否を理由に、法務大臣に再入国を拒否されていた)

最高裁は、憲法22条により再入国の自由は保障されないとした。

平成1(行ツ)2 再入国不許可処分取消等

判例】外国人の生存権塩見訴訟 最高裁 平成1.03.02)

国民年金法の障害福祉年金の受給を請求したが、日本国民でないことを理由に却下されたことを受け、国民年金法の国籍条項は憲法14条, 25条に違反するとして、処分の取消を求めた事件。

最高裁は、支給対象から時流外国人を除外することは立法府の裁量の範囲内であり、憲法25条に違反しないと判断した。

昭和60(行ツ)92 国民年金裁定却下処分取消請求事件

法人への人権保障

憲法の定める人権保証規定が法人にも及ぶかどうか(法人の人権享有主体性の有無)について。
原則、性質上可能な限り、内国の法人にも及ぶとされる。

法人にも適用される人権

  • 経済的自由権
    • 財産権
    • 営業の自由
    • 居住・移転の自由
  • 国務請求権
    • 請願権
    • 裁判を受ける権利
    • 国家賠償請求権
  • 刑事手続上の諸権利
    • 法定手続の保障
    • 住居の不可侵
    • 証人審問権
    • 弁護人依頼権

法人には適用されない人権

  • 生命や身体に関する自由
    • 奴隷的拘束および苦役からの自由
    • 逮捕・抑留・拘禁に対する保障
    • 拷問残虐刑禁止
  • 生存権
  • 選挙権・被選挙権

判例八幡製鉄事件(最高裁大法廷 昭和45.06.24)

八幡製鉄株式会社の代表取締役が会社名で自由民主党政治献金を行ったことに対し、献金は定款に記載する業務目的外の行為であるとして、株主が責任追及の訴えを提起した事件。

法人の人権享有主体性について

会社も納税者である立場において、国や地方公共団体の施策に対し意見の表明などが可能であり、憲法第3章に規定される国民の権利・義務は、性質上可能な限り、内国の法人にも及ぶ

法人の政治活動の自由について

会社にも政治的行為をなす自由が保障され、政治献金もその範疇であり、自然人による献金と法人による献金を別異に扱うべき理由はないとして、法人にも自然人と同程度の保障が及ぶ

政治献金と会社の目的について

会社による政治献金は、客観的・抽象的にみて会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限り、定款所定の目的の範囲内の行為とされる。

昭和41(オ)444 取締役の責任追及請求

判例】南九州税理士会事件(最高裁 平成8.03.19)

公益法人かつ強制加入団体である南九州税理士会が、税理士法を有利に改正させる目的で献金しようと会員から特別会費を徴収する決議をしたことに対し、当該決議は税理士会の目的の範囲外の行為であるとして、決議の無効を主張した事件。

最高裁は、様々な思想信条や主義主張を有する者が存在することが当然に予定されている状況において、多数決原理に基づく行動や、そのための会員への協力要請はおのずから限界があるとしたうえで、政治献金をするかどうかは個人が各々の思想等によって自主的に決定すべきこと、として決議は無効であると判断した。

平成4(オ)1796 選挙権被選挙権停止処分無効確認等

判例】群馬司法書士会事件(最高裁 平成14.04.25)

公益法人かつ強制加入団体である群馬司法書士会が、兵庫県司法書士会に阪神淡路大震災復興支援のための寄付をする目的で、会員から特別会費を徴収する決議をしたことに対し、当該決議は司法書士会の目的の範囲外の行為であるとして、決議の無効を主張した事件。

最高裁は、寄付の目的が司法書士業務機能の回復にあるとしたうえで、寄付は司法書士会の目的の範囲内にあり、会員の思想信条の自由を侵害するものではない、と判断した。

平成11(受)743 債務不存在確認請求事件

私人間の人権効力

大企業などの社会的強者が国民の人権を侵害するような場合、憲法の人権規定を用いて救済できるか(憲法の私人間効力)について。
原則、私法の一般法である民法1条, 90条などの規定の解釈を通じ、憲法の趣旨を反映させることによって、問題解決を図る。

-> 間接適用説

判例日産自動車事件(最高裁 昭和56.03.24)

私企業と私人の判例
女性の定年年齢が男性よりも低く規定されている就業規則は、性別による不合理な差別であるとして、民法90条憲法14条の趣旨を間接適用)により無効である。

昭和54(オ)750 雇傭関係存続確認等

判例昭和女子大事件(最高裁 昭和49.07.19)

私学と私人の判例
学校の許可のない政治活動は校則違反であるとして学生を退学処分とすることは、学校側の有する懲戒権の裁量内である。

昭和42(行ツ)59 身分確認請求

判例百里基地訴訟(最高裁 平成1.06.20)

違憲の存在である自衛隊基地建設のためになされた旧防衛庁と土地の旧所有者との売買契約は、憲法9条に反して無効であると訴えた事件。

最高裁は、国が私人と対等の立場に立って、私人との間で個々的に結んだ契約は、それが実質的に見て公権力の発動であるといえるような特段の事情のない限り、憲法9条の直接適用を受けず、私法の適用を受けるに過ぎない(国の行なう私法上の行為は、憲法問題ではなく民法の問題である)と判断した。

昭和57(オ)164 不動産所有権確認、所有権取得登記抹消請求本訴、同反訴、不動産所有権確認、停止条件付所有権移転仮登記抹消登記請求本訴、同反訴及び当事者参加

公権力と特別な関係にある者の人権保障

特別権力関係にある者に一般人と同じ人権保障が及ぶかについて。
従来は、特別権力関係にある者をひとつのグループとして捉え、一般国民と同じような人権保障は認められない、と考えられてきた。
最近では、公務員や受刑者を同じグループに入れて同一に考えるのは無理があるとして、それぞれの事情に応じた人権制約の有無・程度などを個別具体的に、細かく分析すべきと考えるのが主流である。

判例】公務員の労働基本権(全逓東京中郵事件 最高裁大法廷 昭和41.10.26)

公務員も憲法28条に定める労働基本権の保障を受けるが、職務内容に応じて、合理性の認められる一定の制約を受ける

昭和39(あ)296 郵便法違反教唆

判例】公務員の政治活動の自由(猿払事件 最高裁大法廷 昭和49.11.06)

行政の中立性が確保され国民の信頼が維持されることは国民全体の利益であるため、公務員の政治的中立性が損なわれるおそれのある政治活動を禁止することは違憲ではない。

昭和44(あ)1501 国家公務員法違反

判例】公務員の政治活動の自由(堀越事件 最高裁 平成24.12.07)

社会保険事務所に勤務する原告が衆議院議員総選挙に際し、日本共産党を支持する目的をもって、機関紙や文書を配布したため、国家公務員法および人事院規則に違反するとして起訴されたところ、当該規定が憲法21条1項や31条に反して違憲であると主張し争われた事件。

最高裁は、規定は違憲でないとしたうえで、原告の行為は公務員の職務遂行における政治的中立性を損なうものではないとして、無罪と判断した。

平成22(あ)762 国家公務員法違反被告事件

判例】裁判官の積極的な政治活動の自由(最高裁 平成10.12.01)

地方裁判所の判事補が、国会審議中の法案に反対する市民集会にパネリストとして参加する予定であったところ、所属の裁判所長から警告を受けた結果、集会に参加したうえで「パネリストとしての発言は辞退する」と発言した。それを受けた裁判所長は、当該言動は裁判所法52条1項が禁止する「裁判官の積極的な政治活動」にあたるとして戒告処分を下した。これに対し、判事補が処分の不服を申し立て争われた事件。

最高裁は、裁判官の積極的な政治活動を禁止することは表現の自由を一定範囲で制約することになるが、その制約が合理的で必要やむを得ない限度にとどまる限りは憲法の共用範囲内であるとし、憲法21条1項に違反しないと判断した。

平成10(分ク)1 裁判官分限事件の決定に対する即時抗告

判例】受刑者の閲読の自由(よど号ハイジャック新聞記事抹消事件 最高裁大法廷 昭和58.06.22)

勾留されている受刑者が私費で新聞を定期購読していたところ、よど号ハイジャック事件に関する記事を塗りつぶして受刑者に渡したという事案において、最高裁は合憲であると判断した。

未決勾留者について、逃亡および罪証隠滅の防止という勾留目的のほか、監獄内の規律・秩序維持のため、放置することができない程度の障害が生じる相当の蓋然性があると認められ、かつ障害発生防止のために必要な範囲で一定の制約を受ける、という厳しい基準を設け、在監者の人権でも簡単には制約できないとした。

昭和52(オ)927 損害賠償

判例】受刑者の喫煙の自由(喫煙禁止違憲訴訟 最高裁大法廷 昭和45.09.16)

喫煙を許すと、罪証隠滅や火災発生のおそれがあり、また嗜好品にすぎないので、喫煙の禁止は必要かつ合理的である。

昭和40(オ)1425 国家賠償請求