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Web系エンジニアが行政書士を目指すブログ

アラサー既婚(元)Web/アプリエンジニア兼デザイナーが行政書士を目指す

憲法 [7] 第3章 基本的人権 - 包括的基本権

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幸福追求権

憲法13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法14条以下に具体的な人権を規定しているが、13条はそれらの総則的な規定である。
また、憲法制定時には存在しないが、今後の社会環境の変化に応じて生じるであろうまだ規定されていない人権(新しい人権)の根拠となる規定でもある。

判例で争われた新しい人権

  • 人権として認められたと解釈できるもの
    • プライバシーの権利
    • 肖像権(真正面から認められてはいない)
    • 名誉権
  • 人権として認められていないもの
    • 環境権(憲法25条の権利としても問題となる)
    • 平和的生存権憲法前文には明文あり)
    • 喫煙の自由(判断がわかれるところだが、判例の表現を見る限り認められていない)、嫌煙権、日照権

判例京都府学連事件(最高裁大法廷 昭和44.12.24 )

いわゆる肖像権についての判例
何人も承諾なしにみだりに容貌等を撮影されない自由を有するが、公益歩福祉のために必要な場合は、許される場合がある。

昭和40(あ)1187 公務執行妨害、傷害

判例】肖像権侵害(最高裁 平成17.11.10)

殺人事件の被告人が、法廷内で撮影された写真や悪しざまに描かれたイラスト画を週刊誌に掲載されたとして、肖像権侵害・名誉毀損または侮辱を理由とする不法行為による慰謝料請求を提起した事件。

最高裁は写真撮影について、みだりに容貌や様態を撮影されないことについて法律上保護されるべき人格的利益があることを認めたうえで、被撮影者の人格的利益の侵害が受忍すべき限度内かを判断して決すべきとし、本件事情においては不法行為法上違法であると判断した。
またイラスト画についても写真と同様に判断しべきとし、こちらも違法であると判断した。

平成15(受)281 損害賠償請求事件

判例】前科照会事件(最高裁 昭和56.04.14)

弁護士法23条の2に基づく照会に応じて、市区町村長が前科等について報告する行為が憲法13条に違反するかが争われた事件。

最高裁は、前科等は人の名誉信用に関わる事項であり、これをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するとし、漫然とこれを公開した行為は違法であると判断した。

昭和52(オ)323 損害賠償等

判例】とらわれの聴衆事件(最高裁 昭和63.12.20)

地下鉄乗車中に聞きたくもない商業宣伝放送の聴取を強制されたとしても、人格権を侵害したとはいえず、違法ではない。

昭和58(オ)1022 商業宣伝放送差止等請求事件

判例酒税法違反(最高裁 平成1.12.14)

無免許で自己消費のためにどぶろくを製造していた者を取り締まった事案において、酒税法は酒税の徴収を確保するため、製造目的を問わず、酒類製造を一律免許制にしたものであり、これにより自己消費目的の酒類製造が制約されたとしても、著しく不合理とはいえず、憲法13条に違反するものではない。

昭和61(あ)1226 酒税法違反

判例石に泳ぐ魚事件(最高裁 平成14.09.24)

私人がその意志に反して、私生活における精神的平穏を害するような事実を公表されることのない利益(いわゆるプライバシー)は、いわゆる人格権として、憲法13上により法的保護の対象になる。

平成13(オ)851 損害賠償等請求事件

判例エホバの証人輸血拒否事件(最高裁 平成12.02.29)

輸血を受けることは宗教上の信念に反するとして輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意志を有している場合、これを無視して輸血することは、患者の人格権を侵害したものとして、患者が被った精神的苦痛の賠償責任の対象となる。

平成10(オ)1081 損害賠償請求上告、同附帯上告事件

判例】ノンフィクション「逆転」事件(最高裁 平成6.02.08)

あるノンフィクション作品の中で、自分の前科を実名で公表されたことを受け、作者に対し損害賠償請求をした事件。

最高裁はまず、有罪判決を受け服役したという事実は名誉信用に関わる事項であり、みだりに前科等に関する事実を公表されないという法的保護に値する利益を有する、とした。また、服役を終えた後においては社会復帰が期待され、前科等に関わる事実の公表によって、新しく形成している社会生活の平穏が侵害され、その更生が妨げられない利益を有するとした。
その一方で、ある者の前科等に関わる事実は社会一般の関心や批判の対象となるべき事項に関わることでもあり、事件を公表することに歴史的、社会的な意義が認められるような場合には、関係する者の実名を明らかにすることが許されないとも言えない、としている。

つまり、前科等に関わる事実については、公表されない利益が法的保護に値する場合があるのと同時に、その公表が許される場合もあるのであって、ある者の前科に関わる事実を実名で公表することが不法行為になるかどうかは、その者の生活状況や事件における重要性、事件の歴史的・社会的意義、諸々を併せて判断すべき、と結論づけた。
本件事情において最高裁は、作者の不法行為責任を免れないと判断した。

平成1(オ)1649 慰藉料

判例オービス撮影(最高裁 昭和61.02.14)

速度違反を犯し同乗者とともにオービスで撮影された原告が、承諾なしに容貌を撮影するのは憲法13条の肖像権・プライバシー権を侵害し、また同乗者と一緒にいるところを撮影するのは憲法21条の集会、結社、表現の自由を侵害するとして争われた事件。

最高裁は、オービスによる写真撮影は現に犯罪が行われている場合になされ、緊急に証拠保全する必要性があり、またその方法も一般的に許容される限度を超えない相当のものであるから憲法13条に違反しないとした。
また、撮影の際、運転者の近くにいるため除外できない状況にある同乗者の容貌を撮影することになっても、憲法13条, 21条に違反しないと判断した。

昭和59(あ)1025 道路交通法違反

法の下の平等

憲法14条

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2項
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3項
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

憲法14条で言う "平等" は、すべての者を機械的・絶対的に等しく扱う絶対的平等ではなく、社会通念から見て、不合理な差別的扱いを禁止する相対的平等を意味する。
また、1項では歴史的に差別要因となったものを例示的に列挙しているだけに過ぎず、列挙されていない事由による差別も当然に許されない。

判例】尊属殺重刑規定違憲判決(最高裁大法廷 昭和48.04.04)

旧刑法に定められていた尊属殺害時の特別規定が、無期または死刑のみという非常に重いもの(普通殺人罪は懲役3年以上、無期または死刑)だった。これが、平等原則に反するのではないかとして争われた事件。

最高裁は、尊属を保護するために刑を加重しても合理的根拠を欠くものではないが、当該規定は必要な限度を越えており、普通殺人罪の法定刑に比べて著しく不合理な差別的扱いであり、憲法14条1項に反し無効であると判断した。

昭和45(あ)1310 尊属殺人

判例】売春等取締条例違反被告事件(最高裁大法廷 昭和33.10.15)

憲法地方公共団体条例制定権を認める以上、地域によって差異が生じるのは当然予想されることで、取り締まりに差異が生じても違憲ではない。

昭和29(あ)267 売春等取締条例違反

判例】サラリーマン税金訴訟(最高裁大法廷 昭和60.03.27)

事業所得者には認められる必要経費の全額控除が給与所得者に認められないのは、かわりに給与所得控除によって経費を合理的に概算控除しているためであって、憲法に違反するものではない。

昭和55(行ツ)15 所得税決定処分取消

判例日産自動車事件(最高裁 昭和56.03.24)

女性の定年年齢を男性よりも低く規定している就業規則は、性別による不合理な差別である。

昭和54(オ)750 雇傭関係存続確認等

判例】女性の再婚禁止期間(最高裁 平成7.12.05)

民法733条が定める女性の再婚禁止期間は、父性の推定の重複を避けるためや、父子関係の紛争を予防するためであり、憲法14条に違反するとまではいえない。

平成4(オ)255 損害賠償

判例国籍法違憲訴訟(最高裁大法廷 平成20.06.04)

嫡出子と非嫡出子で日本国籍の取得に差を設けていた改正前の国籍法3条1項について、非嫡出子に日本国籍の取得を認めないのは、日本との密接な結び付きを有するものに限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を逸脱しており、不条理な差別をしょうじさせている、として違憲判決を下した。

平成19(行ツ)164 国籍確認請求事件

判例婚外子法定相続分差別(最高裁大法廷 平成25.09.04)

民法900条4号ただし書前段の規定が嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1としていることについて、違憲であると判断し、後に民法が改正された。

平成24(ク)984 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件

家庭生活における個人の尊厳と両性の平等

憲法24条

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2項
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。