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憲法 [8] 第3章 基本的人権 - 精神的自由権

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思想・良心の自由

憲法19条

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

戦前の治安維持法などの経験から、思想・良心の自由(信仰に準じる世界観、主義、思想など)を保障している。

思想・良心の自由は、それが内心にとどまる限り絶対的に自由であり、公共の福祉による制約は認められない、という点が特徴。
またあわせて、沈黙の自由(自分の考えていることを強制的に開示されない自由)も含まれていると解される。

判例謝罪広告請求事件(最高裁大法廷 昭和31.07.04)

名誉毀損事件において、裁判所が加害者に対して行なう「陳謝の意を表します」という謝罪広告の掲載命令が憲法19条に違反するのではないかとして争われた事件。

最高裁は、広告の内容が単に真相を告白し陳謝の意を意を表明するに留まる程度のものであれば、憲法19条に違反しないと判断した。

昭和28(オ)1241 謝罪広告請求

判例三菱樹脂事件最高裁大法廷 昭和48.12.12)

企業が特定の思想、信条を有する者を、それを理由に雇用を拒んでも、当然に違法とすることはできない。

昭和43(オ)932 労働契約関係存在確認請求

判例】麹町中学内申書事件(最高裁 昭和63.07.15)

中学校の内申書の思想信条記載欄に特定の思想信条に関する記載があったとしても、これによって子どもの思想信条を了知し得るものではなく、高校入試選抜の資料として解されないので、本記載は憲法19条に違反しない。

昭和57年(オ)第915号

判例】ポストノーティス命令(最高裁 平成2.03.06)

ポストノーティス命令による陳謝の意思表示は、同種の行為を繰り返さない約束をするに過ぎず、命じられた者の反対の意志を強制するものではないため、憲法19条に違反しない。

昭和63(行ツ)102 不当労働行為救済命令取消

信教の自由

  1. 信教をする自由 憲法20条1項
  2. 信教を強要されない自由 憲法20条2項
  3. 宗教結社の自由 憲法20条憲法21条の結社の自由とをあわせて

憲法20条

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2項
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3項
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

憲法89条

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

宗教は精神生活の安定に繋がるが、歴史的に見て信仰に対する圧迫等がなされてきたので、信教の自由を保障している。
また、国家と特定の宗教が結びつくと、他の宗教の圧迫等がもたらされるため、国家と宗教の分離が規定された。(政教分離の原則憲法20条1項後段憲法89条

信教の自由の判例

判例】有形力の行使(最高裁大法廷 昭和38.05.15)

宗教行為としてなされたものであっても、他人の生命、身体等に危害を及ぼすのは違法な有形力の行使であり、信者を死に至らしめた場合、著しく反社会的な行為であることは否定できず、信教の自由による保障の範囲から外れる。

昭和36(あ)485 傷害致死

判例宗教法人オウム真理教解散命令事件(最高裁 平成8.01.30)

宗教法人解散制度は、

  1. 世俗的目的により解散を判断し道理的であり、
  2. 対象となった法人は反社会的なな行為により公共の福祉を害したと認められ、
  3. 信者の信教行為への支障は間接的・事実上のもの(法人として活動できないだけで信教辞退はできる)であり、
  4. 解散命令も(2 等を考慮すれば)やむを得ないものであり、
  5. 裁判所が命令を発することとされていて、手続き的保障もある

ため、信教の自由を侵害しない。

平成8(ク)8 宗教法人解散命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告

政教分離判例

判例】津地震災事件(最高裁大法廷 昭和52.07.13)

憲法20条3項が禁止する宗教的活動とは、宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助・助長または圧迫・干渉となるような行為を指す。
津市が主催した市立体育館の起工式に神式行事を採用したことは世俗的なものと認められ、前述の目的をもつものではないため、目的効果基準に照らして憲法に違反するものではない。

昭和46(行ツ)69 行政処分取消等

目的効果基準の考え方

問題となっている行為の目的宗教的意義をもち、その結果が特定の宗教に対する援助・助長または圧迫・干渉になるかどうかを判断すること。

判例】愛媛玉串料控訴判決(最高裁大法廷 平成9.04.02)

愛媛県靖国神社または護国神社の挙行した例大祭に際して、玉串料を公金から支出して奉納した行為は宗教的意義をもち、政教分離の原則に反する。

平成4(行ツ)156 損害賠償代位

判例】砂川政教分離訴訟(最高裁大法廷 平成22.01.20)

私有地を無償で神社に提供している行為について、これまでの経緯や宗教施設の性格、一般人の評価など、諸般の事情を考慮し社会通念に照らして総合判断すべきとしたうえで、外形的事実や実施される行事など、一般人の目から見て特定の宗教に便宜供与していると評価し、政教分離の原則に反すると判断した。

平成19(行ツ)334 財産管理を怠る事実の違法確認請求事件

判例】単位認定(最高裁 平成8.03.08)

工業高等専門学校の生徒である原告が、信仰上の理由から必須科目である剣道の実技受講を拒否したことを受け、校長は単位認定せず原級留置・退学処分とした。それに対し、処分の取消を訴えて争われた事件。

最高裁は、代替措置を講じその成果に応じた評価をすることは政教分離に反するとは言えないため、学校側の措置は社会通念上妥当性を欠くものであり、裁量権の範囲を超えた違法なものと言わざるを得ない、と判断した。

平成7(行ツ)74 進級拒否処分取消、退学命令処分等取消

表現の自由・検閲の禁止・通信の秘密

憲法21条

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2項
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

現在では、表現の自由には知る権利も含まれると解される。
表現の自由に含まれるか否かで争われたものとして、

がある。

報道の自由(テレビの取材源と証拠押収)

判例博多駅取材フィルム提出命令事件(最高裁大法廷 昭和44.11.26)

報道の自由憲法21条保障の下にあり取材の自由も21条の精神に照らし十分尊重に値するが、公正な刑事裁判の審理のために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要な場合には、取材の自由が制約を受けることもやむを得ない。

昭和44(し)68 取材フイルム提出命令に対する抗告棄却決定に対する特別抗告

判例日本テレビビデオテープ押収事件(最高裁 平成1.01.30)

適切迅速な捜査遂行のため、

等を比較衡量して、報道の自由に一定の制約(本件では取材源の差し押さえ、取材テープの押収)を設けることも許される。

昭和63(し)116 贈賄被疑事件について地方裁判所がした準抗告棄却決定に対する特別抗告

判例】司法検察官によるビデオテープ差し押さえ(最高裁 平成2.07.09)

上記、日本テレビビデオテープ押収事件を引用し、公正な刑事裁判を実現するために不可欠な適性迅速な捜査遂行が求められる場合、司法検察官によるビデオテープの差し押さえにより報道・取材の自由が制約されてもやむを得ない。

平成2(し)74 Aに対する暴力行為処罰に関する法律違反、傷害被疑事件について地方裁判所がした準抗告棄却決定に対する特別抗告

報道の自由報道の自由の前提となる取材の自由)

判例】外務省秘密伝聞漏洩事件(最高裁 昭和53.05.31)

報道期間の報道のための取材の自由も、憲法21条で尊重されるが、新聞記者が外務省の秘密伝聞の漏洩をそそのかしたのは、取材の方法が刑罰法令に触れ、また法秩序全体に照らし社会観念上是認できないものであり、正当な取材活動の範囲を逸脱し、違法性を帯びる。

昭和51(あ)1581 国家公務員法違反

判例】石井記者事件(最高裁大法廷 昭和27.08.06)

憲法21条の保障は言いたいことを言わせることであって、その情報源の秘匿まで保障するものではなく、証言拒絶の権利まで保障したものではない。

昭和25(あ)2505 刑事訴訟法第一六一条違反

判例】レペタ法廷メモ事件(最高裁大法廷 平成1.03.08)

法廷において傍聴人がメモをとることは権利として保障されているものではないが、特段の事情がない限り、傍聴人の自由に任せるべき。

昭和63(オ)436 メモ採取不許可国家賠償請求事件

報道の自由(アクセス権・反論権)

判例サンケイ新聞反論文掲載請求事件(最高裁 昭和62.04.24)

憲法21条等の自由権的基本権の保障規定は私人間には直接適用されず、21条から直接に反論分掲載の請求権を生じさせることはできない。反論権の制度は、表現の自由に重大な影響を与えるため、不法行為が成立する場合は別として、具体的な成文法がないのに認めることはできない。

昭和55(オ)1188 反論文掲載

猥褻表現

判例四畳半襖の下張事件(最高裁 昭和55.11.28)

文書の猥褻性の判断については、文書全体としてみたときに、主として読者の好色的興味に訴えると認められるか否かなどの諸点を検討することが必要であり、その時代の健全な社会通念に照らして、「徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」といえるか否かを判断すべき。

昭和54(あ)998 わいせつ文書販売

判例】自動販売機による有害図書の販売禁止(最高裁 平成1.09.19)

条例で自動販売機による有害図書の販売を禁止しても、青少年の健全な育成を阻害する有害環境浄化のためのやむを得ない規制であり、憲法21条に違反しない。

昭和62(あ)1462 岐阜県青少年保護育成条例違反

個人の行為の規制

判例】屋外広告物条例判決(最高裁大法廷 昭和43.12.18)

屋外広告物の展示場所や方法を制限することは、都市の美観風致を維持する目的の場合、必ずしも憲法に違反するものではない。

昭和41(あ)536 大阪市屋外広告物条例違反

判例】ビラを貼る行為の禁止(最高裁大法廷 昭和45.06.17)

軽犯罪法1条33号によるみだりにビラを貼る行為を禁止している規制は、公共の福祉のために許容された必要かつ合理的な制限であって、憲法21条2項に違反しない。

昭和42(あ)1626 軽犯罪法違反等

判例猿払事件最高裁大法廷 昭和49.11.06)

行政の中立的運営と、これに対する国民の信頼を確保するため、現行法による一般職公務員の政治行為の禁止は憲法に反しない。

昭和44(あ)1501 国家公務員法違反

集団行動を規制する法令等

集団行動の自由と許可制

集団行動の自由は、憲法21条で保証される「表現の自由、集会の自由」に内包される人権であるが、この集団行動の自由と公共施設の使用許可に関して、許可制を用いるか否かについて、憲法学上問題になる。

公共の施設を利用するのは国民の当然の権利だが、物理的な限界があり、利用のすべてが許されるわけではない。つまり、公共施設の利用は原則許されるべきであり、利用が許されないのは例外的な場合に限られるべきである。
しかし現実には、多くの公共施設が利用に際して「許可制」を採用している。これは、利用内容を審査し、管理権者の権限によって利用を「許す」という制度であり、原則的に許されるべきであるはずの利用が、管理権者の権限によって決まることになる。これが、表現の自由に対する事前抑制に当たるのではないかとして問題になる。

これに関して判例は、「許可制」そのものを違憲とはせず、実質的に届出制(出せば通る制度)と異ならなければ名目は許可制でも許される、と判断した。

判例】東京都公安条例事件(最高裁大法廷 昭和35.07.20)

集団行動による思想等の表現(デモ等)は、単なる言論等とは異なり、一種の物理力により支持され、一瞬にして暴徒化する危険が存在するため、地方公共団体公安条例により、集団行動等の表現の自由を事前に許可制をもって必要かつ最小限の規制をすることは、公共の秩序維持のためにやむを得ない

昭和35(あ)112 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例違反

判例皇居前広場事件(最高裁大法廷 昭和28.12.23)

メーデーのための皇居外苑使用許可申請に対して不許可処分を行ったのは、公園の管理保存に著しい支障がある、とか、他の国民の利用が妨げられる等の理由によってなされたものである。

昭和27(オ)1150 皇居外苑使用不許可処分取消等請求

判例新潟県公安条例事件(最高裁大法廷 昭和29.11.24)

地方公共団体の制定する公安条例が、行列進行または公衆の集団示威運動(デモ等)に関して単なる届出制を定めることは、事前抑制となり憲法の趣旨に違反するが、公共の秩序や公共の福祉が著しく侵されることを防止するため、特定の場所や方法について、合理的かつ明確な基準の下に許可や届け出の規定を設けても、直ちに違憲であるとは言えない。

昭和26(あ)3188 昭和二四年新潟県条令第四号違反

判例上尾市福祉会館事件(最高裁 平成8.03.15)

公の施設の利用は、利用目的に反しない限り原則的に認められるべきであり、管理者が正当な理由もなく拒むことは、憲法の保証する集会の自由を侵害する。

平成5(オ)1285 国家賠償

情報公開に関する判例

判例】資料の非公開処分(最高裁 平成6.01.27)

条例に基づく府知事の交際費に関する資料提供請求に対する非公開処分は、

  • 資料の提供によって、相手方との信頼関係や友好関係を損なうおそれがある
  • 交際事務を適切に行うことに著しい支障が生じるおそれがある
  • 相手方にも交際に要した金額までは知られたくない

等により、情報公開条例の非公開文書に該当するものであるため、憲法に違反しない。

平成3(行ツ)18 行政処分取消

検閲の概念

  1. 行政権が主体となり
  2. 審査が発表前に行われ
  3. 審査は広く内容におよぶ

上記によって表現の発表を禁止されることになると検閲にあたり、その行為は憲法上絶対的に禁止となる。

検閲事前差止めについて(検閲の概念)

判例】税関検査訴訟事件(最高裁大法廷 昭和59.12.12)

税関検査において輸入が禁止される表現物は国外において発表済みのものであり、思想内容等それ自体を網羅的に審査し規制することを目的としていないため、検閲には当たらず憲法に違反しない。
また、税関長の通知がされた時は司法審査の機会が与えられており、行政権の判断が最終的ではないことからも検閲にあたらない。

昭和57(行ツ)156 輸入禁制品該当通知処分等取消

判例】第一次家永教科書事件(最高裁 平成5.03.16)

教育内容が正確かつ中立、公正で全国一定の水準にあることを実現するために実現されるもので、必要かつ合理的な範囲を超えているとは言えない。
また、発売禁止目的や発表前の審査ではないため検閲にあたらず、一般図書としての発行を妨げるものでもないため、表現の自由を制限するものではない。

昭和61(オ)1428 損害賠償請求事件

検閲事前差止めについて(裁判所の事前差止)

判例北方ジャーナル事件最高裁大法廷 昭和61.06.11)

選挙候補予定者の名誉を傷つける内容の雑誌記事に対する裁判所が行なう仮処分による事前差し止めは、司法権による処分であり検閲にあたらない
しかし、裁判所の行なう表現行為に対する事前抑制(仮処分による事前差止め)は、憲法21条の趣旨に照らし厳格かつ明確な要件によって許容されるものであり、表現行為の対象が公職選挙の候補者予定者という私人の名誉権に優先する社会的価値を含む場合、事前抑制は認められないのが原則である。

ただし、

  • 表現内容が真実ではなく
  • 被害者に重大で回復困難な損害を及ぼすおそれがあるとき

は、例外的に事前抑制が許される。

昭和56(オ)609 損害賠償

学問の自由

  1. 学問研究の自由
  2. 研究内容の自由
  3. 教授の自由
  4. 大学の自治(大学内の人事権、学生・施設の管理権)
    • 学問研究の中心は大学であるため、大学の自治が保障されている

憲法23条

学問の自由は、これを保障する。

学問 = 真理の探求は社会生活にとって有用にもかかわらず、歴史的に見て時の権力者から圧迫されることが多かったため保障されている。

権利の享有主体は

  • 教授
  • 准教授
  • 教員等大学スタッフ

である。学生にもある程度の保障が及ぶが、それは二次的な要素である。

判例】東大ポポロ事件(最高裁大法廷 昭和38.05.22)

大学の集会が政治的社会的活動をにあたる行為をする場合、大学の許可があっても、大学の有する学問の自由と自治を享有せず、警察官が立ち入っても大学の自治を侵すものではない。

昭和31(あ)2973 暴力行為等処罰ニ関スル法律違反