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Web系エンジニアが行政書士を目指すブログ

アラサー既婚(元)Web/アプリエンジニア兼デザイナーが行政書士を目指す

憲法 [9] 第3章 基本的人権 - 経済的自由権

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職業選択の自由

憲法22条

1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、(中略)職業選択の自由を有する。

どんな職業に就くかは個人の幸せに大きな影響を及ぼすため、職業選択の自由が保障された。
この職業選択の自由の中には、選択した職業を営む自由(営業の自由)も含む。

なお、22条1項の正確な条文は

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

であり、職業選択の自由とあわせて住居・移転の自由も規定されている。
両者は別々の権利だが密接な関係があり、職業選択の自由をなすためには、就業場所や営業場所を自由に選べることが前提となるため、同一の条文に規定されている。

判例】小売市場距離制限事件(最高裁大法廷 昭和47.11.22)

小売商業特別措置法に定められている小売市場同士の距離間隔制限が営業の自由を侵害しているとして争われた事件。

最高裁は、当該距離規制は中小企業保護の観点からとられた措置であり、その目的において一応の合理性が認められ、規制の手段も著しく不合理であるとは認められないため、22条1項に違反しないと判断した。

昭和45(あ)23 小売商業調整特別措置法違反

判例薬事法違憲判決(最高裁大法廷 昭和50.04.30)

薬事法に定められている薬局開設距離間隔制限について争われた事件。

最高裁

  1. 規制の必要性・合理性の精査と、よりゆるやかな規制手段で同じ目的が達成できないかの検討が必要である
  2. 当該距離制限は、国民の生命・健康に対する危険の防止のため、という消極的な理由である
  3. 「薬局開設の自由 -> 薬局の偏在 -> 競争激化 -> 一部薬局の経営の不安定 -> 不良医薬品の提供の危険性」という因果関係は立法事実によって合理的に裏付けできない
  4. 立法目的は行政上の取り締まりの強化によっても十分に達成できる

として、薬事法の距離制限を違憲と判断した

昭和43(行ツ)120 行政処分取消請求

判例】公衆浴場距離制限規定事件(最高裁 平成1.03.07)

公衆浴場法による適正配置規制は、公衆浴場(の経営)を確保する制限であり、社会政策および経済政策条の積極的な規制であるため、当該規制が著しく不合理でないかぎりは憲法に違反しない。

昭和60(行ツ)197 営業不許可処分取消請求事件

判例西陣ネクタイ訴訟(最高裁 平成2.02.06)

国産の生糸関係の生産保護のため、輸入生糸を制限する法律が定められたところ、原料の生糸の仕入れ値が高騰し損害を受けたとして織物業者が争った事件。

最高裁は、国産機糸の輸出増進と養蚕業の経営安定を目的とした立法は、積極的な社会経済政策のひとつとして、個人の経済活動に一定の合理的規制を講ずることは憲法が予定し許容するところであり、立法府がその裁量権を逸脱し、著しく不合理であると明白な場合にのみ違憲であると判断し、当該立法は憲法22条1項に違反しないとした。

判例】酒類販売業許可拒否事由(最高裁 平成4.12.15)

酒税法に規定する酒類販売業許可拒否事由は、原則、立法府の裁量的判断を尊重すべきであり、政策的・技術的な裁量を逸脱し、著しく不合理な場合にのみ違憲となる。

昭和63(行ツ)56  酒類販売業免許拒否処分取消

判例】医薬品のネット販売規制(最高裁 平成25.01.11)

薬事法の改正により、第三類以外の一般医薬品は有資格者による対面販売によること等が規定されたことを受け、インターネットによる医薬品の通信販売を行なう事業者らが、当該規定は憲法22条1項に違反すると主張して争われた事件。

最高裁は、新薬事法は郵便販売等の規制について明示的に触れておらず、旧薬事法から実質的に改正されていないこと、また制定に際して、郵便販売等を規制すべきであるとの意識を有していたとは言い難いことから、郵便販売等を規制する改正薬事法の各規定は委任の範囲を逸脱し、違法・無効である、と判断した。

平成24(行ヒ)279 医薬品ネット販売の権利確認等請求事件

財産権

憲法29条

財産権は、これを侵してはならない。

2項
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3項
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

憲法29条2項では財産権にも公共の福祉を受けることを、3項では正当な補償の下に私有財産を収容することを規定しているが、保障な必要な場合については明記されておらず、国民が財産権を制約された場合に保証の要否・程度が問題となる。

この点について、その制限が特別の犠牲に該当する場合に補償が必要だとされる(一般に受忍される程度のものであれば補償されない)。
また補償が必要な場合、原則完全補償とし、社会変革などの事情があれば相当補償で足りると解される。

判例奈良県ため池条例事件(最高裁大法廷 昭和38.06.26)

以前からため池の堤とう部分を利用して竹木や農作物を植えてきたという地域において、堤とう部分の使用を禁止する条例が定められたところ、当該条例が財産権の侵害に当たるとして争われた事件。

最高裁は、ため池決壊の原因となる堤とうの使用行為は憲法民法の保証する財産権の行為の外にあり、条例によって規制されたとしても財産権に内在する当然の制約であり、公共の福祉のために受任しなければならず補償は不要である、と判断した。

昭和36(あ)2623 ため池の保全に関する条例違反

判例農地改革における農地買収(最高裁大法廷 昭和28.12.23)

自作農創設特別措置法に基づいて市場価格より大幅に安く農地を買収したとしても、憲法29条3項の正当な補償とは、合理的に算出された相当額をいうため、憲法に違反しない。

昭和25(オ)98 農地買収に対する不服申立(特別上告)

判例土地収用法における補償(最高裁 昭和48.10.18)

土地収用法における損失補償は特別の犠牲の回復を目的をするものであるから、完全補償が必要である。

昭和46(オ)146 土地収用補償金請求

判例】森林法違憲判決(最高裁大法廷 昭和62.04.22)

財産権に対して加えられる規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によって制限される財産権の種類、性質および制限の程度等を比較考量して決するべきだが、森林法186条の規定は必要な限度を超えて厳格な禁止であり憲法に違反する。

昭和59(オ)805 共有物分割等

判例】河川附近地制限令事件(最高裁大法廷 昭和43.11.27)

砂利採取を許可制にすることは、特定の人に対して特別の財産上の犠牲を強いるものではないため、憲法29条3項に違反しない。
ただし、その財産権上の犠牲が特別の犠牲とみる余地が無いわけではなく、一切の損失補償を否定する趣旨ではなく、直接憲法29条3項を根拠に補償請求を認め得る余地がある。

昭和37(あ)2922 河川附近地制限令違反

居住・移転の自由

憲法22条

1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転(中略)の自由を有する。

自由な経済活動を為すためには自由な住所移転が可能であったほうがより効果的であるため、職業選択の自由と同一の条文に規定されている。
また、自由な移動は見聞を広め、素養を高めるためにも役立つため、居住・移転の自由には精神的自由の側面も持つと考えられている。

外国移住の自由・国籍離脱の自由

憲法22条

2項
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

外国へ移住する自由には、永住だけでなく一時旅行の自由も含まれているが、無制限に認められるわけではなく公共の福祉による合理的な制限を受ける。