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Web系エンジニアが行政書士を目指すブログ

アラサー既婚(元)Web/アプリエンジニア兼デザイナーが行政書士を目指す

憲法 [24] 第6章 裁判所 - 裁判所の権能

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裁判所の権能

最高裁判所

裁判をする権利

憲法76条

1項
すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

違憲審査権

憲法81条

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

憲法に違反する法律等によって人権が侵されるのを防ぐ。
下級裁判所にも違憲審査権はある(最高裁 昭和25.02.01)。

法律が違憲とされたもの

  • 尊属殺重罰規定(刑法200条)
  • 薬事法上の薬局開設距離制限規定
  • 議員定数不均衡(公職選挙法)(2回)
  • 森林法共有分割規定
  • 郵便法
  • 在外邦人の選挙権制限
  • 非嫡出子の国籍取得制限

付随的審査制

裁判所法3条には、裁判所の権限として

裁判所は、日本国憲法 に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

と規定されているが、これは法律上の争訟がなければ裁判ができないということを意味し、このような法律上の紛争を前提として裁判権を行使することを付随的審査制という。
憲法では、司法権が付随的審査制を採用しているかを明記していないが、警察予備隊違憲訴訟(最高裁 昭和27.10.08)において、「裁判所は具体的な争訟事件があって初めて司法権を行使できる」とし、付随的審査制が原則であることを判示している。

逆の立場として抽象的審査制があり、こちらは具体的な事件争訟がなくても、法律について広く一般的抽象的に裁判所に出訴できる。現行法条、行政事件訴訟法における "民衆訴訟" と地方自治法の "住民訴訟" が抽象的審査の対象となる。

規則制定権

憲法77条

最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

2項
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。

3項
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

下級裁判所の裁判官を指名権

憲法80条

1項
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を10年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

下級裁判所

  • 裁判をする権利
  • 違憲審査権
  • 規則制定権

司法権行使の可否(限界)に関する判例

統治行為と司法権

統治行為論

他の国権の裁量に属する高度に政治的な問題を審査することは極力控えるようにすべき、という理論。三権分立の趣旨を全うするためにも、また高度に政治的な問題を民意に裏打ちのない司法権が決定すべきでもない、との理由から導かれる。
ただし、行政や国会の行為すべてが審査不能というわけではなく、他の国権の裁量の範疇であり、かつ高度に政治的な問題のみ(衆議院の解散、議事手続、立法行為、条約等)が対象となる。

判例砂川事件最高裁大法廷 昭和34.12.16)

条約が違憲か否かの判断は、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限り、司法審査の枠外である。

昭和34(あ)710 日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反

判例衆議院解散に対する司法権最高裁大法廷 昭和35.06.08)

衆議院解散のような高度に政治性のある国家行為は、たとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能であったとしても、裁判所の審査権に枠外にある。

昭和30(オ)96 衆議院議員資格並びに歳費請求

判例警察法改正無効事件(最高裁大法廷 昭和37.03.07)

裁判所は、法律制定の議事手続きに関する違法事実を審理して、その有効無効を判断すべきではない。

昭和31(オ)61 地方自治法に基く警察予算支出禁止

部分社会と司法権

部分社会の法理

特定の団体のうち、自治的組織運営の方法が明確に定められ、憲法その他の法令においてその地位の存立が予定されている小さな社会(大学や地方議会など)においては、原則として、その内部的な自治規定が優先され、その範囲において司法審査が及ばないという考え方。

判例】地方議会と司法権最高裁大法廷 昭和35.10.19)

地方議会への出席停止の懲罰は内部規律の範疇として自律的な措置に任せるが、議会の除名処分のような外部との関係をもつ重大事項は司法の判断が及ぶ。

昭和34(オ)10 懲罰決議等取消請求

判例】大学と司法権最高裁 昭和52.03.15)

大学における単位の授与という行為は内部行為にあたり、大学の自主的、自律的判断に委ねるべきであり、司法審査の対象とはならない。

昭和46(行ツ)52 単位不認定等違法確認請求

判例】政党と司法権最高裁 昭和63.12.20)

政党員に対する処分について、一般市民法秩序と直接関係のない内部的事項に留まる限り、司法権は及ばない。また、処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても、政党が自律的に定めた規範や一般的な条理に基づき、正当な手続きによって処分がなされたかによって判断すべきであり、審理対象もその点に限られる。

昭和60(オ)4 家屋明渡等請求事件

宗教問題と司法権

学術的な論争や宗教上の教義などの問題は、司法審査の対象外とされている。

判例板まんだら事件最高裁 昭和56.04.07)

形式的には法律関係に関する紛争であっても、その前提問題において宗教上の教義について判断しなければならない場合は法律上の争訟にあたらず、司法権が及ばない。

昭和51(オ)749 寄附金返還

判例】血脈相承(日蓮正宗管長)事件(最高裁 平成5.09.07)

宗教上の地位の存否を審理するために教義や信仰に立ち入ることが必要な場合は法律上の争訟にあたらず、司法権が及ばない。

昭和61(オ)531 代表役員等地位不存在確認

判例】蓮華寺事件(最高裁 平成1.09.08)

権利義務などの法律に関わる訴訟であっても、その前提として教義や信仰の内容について判断する必要がある場合は法律上の争訟にあたらず、司法権が及ばない。

昭和61(オ)943 建物明渡、代表役員等地位確認請求事件